12月27日
花を買おうと思っていた。両手いっぱいの、持つのが苦しいくらい大きな花束を買って、ケーキ屋さんを巡る。喫茶店もいいな。本を数冊持って、端末はもちろんお留守番。夜はレイトショー。コンビニで缶ビールを買って、ちょっとだけ飲んだら泥みたいに眠りたい。
19歳の私が考えた、理想の20の誕生日の妄想である。大人なのかガキなのか、わかんねぇなぁと苦笑してしまう。
さっきまで弔辞を集めた文集のようなものを読んでいた。もはやそれを聞くこともできない人へ、届かないけれども言わずにはいられない言葉、ひとつひとつが美しかった。
私に弔辞を読んでくれる人はいるのだろうか。私は誰に対してなら、言葉を飾ることなく弔辞を読めるのだろう。
せめてそういうやつと会ってから死にたいよなぁ。死んでからも、数ヶ月にいっぺんくらいでいいから、あんなやつもいたなぁってひっそり思い返されたり。ううん、生きているうちから、時々思い出してもらいたい。
あんたの誕生日の光景に、他人は存在していなくない?そういう身勝手なところがあんたのガキっぽさの所以なのよ。と、20歳の自分に窘められた。